
松庵の家
都内杉並区の閑静な住宅街に佇む専用住宅です。
敷地は間口に対して奥行きが深く、奥に向かって広がる台形。この特徴的な敷地条件の中で、5つの個室を確保しつつ、いかにして快適な生活空間を創出するかが設計の出発点となりました。
隣地からの引きをあまり確保できないため、各居室や共用部への採光計画が重要なテーマとなりました。
まず、居室のヴォリュームと階段や水回り等の共用部分のヴォリュームとに整理しました。
これらのヴォリュームを台形の敷地形状に沿って配置すると、必然的に建物の中心に細長い三角形の余白が生まれます。この余白の上部に約10メートルに及ぶリニアなトップサイドライトを設けることで、奥行きのある建物の奥深くまで、柔らかな光が満ち渡ることを意図しました。
同時に、このトップサイドライトは居室のヴォリュームと共用部分のヴォリューム、それぞれに架かる屋根の間に設けられた「光のスリット」としての役割も担っています。このスリットにより、屋根は視覚的に分節され、建物全体に軽快な印象を与えています。